2019年度理事長所信

公益社団法人射水青年会議所 中村 長治

百折不撓 ~無限の可能性を信じ、魂を燃やせ~

はじめに

 2005年、平成の大合併と呼ばれた時代の最中、射水市の市町村合併に先駆けて新生射水青年会議所が誕生しました。先達は当時の世相を背景に、社会情勢が大きく変化する中、その時代に応じた運動を通じて、この地の礎を築いてきました。また、自ら考え行動し未来を切り拓く過程を経て、良きリーダー・時代の先駆者となるべく成長を続けてきました。我々の先達が少しも揺らぐことなく本気でまちづくりに取り組んできたからこそ、15年目を迎える新生射水青年会議所は、地域の理解や協力を得ながら、多くの会員とともに活動することができるのです。

 近年の日本は、異常気象などによる大規模な災害や、先の見えぬ混沌とした経済、少子高齢社会など多岐にわたる難題を抱えています。 このような時代だからこそ、無限の可能性を秘めた我々青年が先頭を切って、この時代を乗り越えていかなくてはなりません。先達は、「射水の限りない発展と、明るい豊かな社会を築くために率先して行動する」ことを誓い、運動を始めました。青年会議所の掲げる「明るい豊かな社会の実現」という理念は、長い青年会議所の歴史の中で先達が懸命につないでこられた不変の精神です。まちの未来を担う青年として、青年会議所活動を通じて成長し、次代をリードするにふさわしい人財を数多く輩出することこそが、この理念を実現する道であると確信しています。

 今こそ先達が築いてこられた功績に感謝するとともに、無限の可能性を信じ、熱き情熱をもって恐れることなく率先して運動を展開することで、射水の明るい未来を実現していきます。

 

15周年から未来に向けて

 本年度、新生射水青年会議所(以下射水JC)は統合設立から15周年を迎えます。33年の歴史をもつ新湊青年会議所と10年の歴史をもつ射水青年会議所が、射水市の合併に先立ち統合設立し15年の月日が流れました。我々が今こうして青年会議所運動を行うことができるのは、先達がその運動を通じまちに大きな功績を残し支持されてきたからです。この節目となる一年を契機に、先達が培ってきた歴史を紐解き、その時代に即して成し遂げられてきた数々の運動をその想いとともに継承し、射水のJAYCEEが今まで以上に一丸となり、これまでの運動を更に推進していく好機としていかなければなりません。

 「温故知新」を読み下すと「故 (ふる) きを温 (たず) ねて新しきを知る」となり「過去の事実を研究し、そこから新しい知識や見解をひらくこと」という意味になります。このことは射水JCにとってはもちろんのこと、射水に住み暮らす私たち市民においても必要なことなのではないでしょうか。自身の祖先がなぜこの土地に住まい、何を生業にしてきたのかを解明し、そこから自身の今を顧みて明るい未来を創造することで、故郷に対する郷土愛と、未来への希望が生まれる機会にしたいと考えています。

 設立15周年を迎える本年は30年続いてきた平成の世が終わりを告げ、新たな時代の到来を期待した、希望に満ち溢れた年といえます。射水JCもこの記念すべき年に更なる一歩を踏み出し、まちの明るい未来の実現に向けて先達への感謝を胸に刻み、運動を展開していきます。

 

継続的な郷土愛の醸成

 今から約150年前、徳川将軍家が没落し、政権を天皇に返上することで、明治維新が成りました。深刻化する国内問題と外国による侵略の脅威をバネに運動を先導したのは、諸藩の若い武士たちでした。私たちと同じ青年期の若者が、その時代の政治に対する意見を侃々諤々と交わし、国の未来を想い描き、そして実行に移したのです。昨年の大河ドラマ『西郷どん』でもその様なシーンが数多く登場しました。薩摩藩の下級武士であった西郷隆盛をはじめとする若者が集い、故郷である日本を想い政治を語り合う。政治を語り合うことで郷土愛が更に高まり人は行動を起こすのです。これを見て「政治」と「郷土愛」にはとても深い関わり合いがあると考えました。

 しかし、昨今の日本は、若者世代の投票率の低さなどから若者の政治離れが問題視されていますが、なぜ若者が政治に関心を持たなくなったのでしょうか。その原因の一つとして、自身の生活に政治が密接に関係していることが、理解されていないことにあると考えます。政治は自身の生活やまちの発展を方向付ける重要なテーマです。その動向は日々の報道などで多く取り上げられていますが、普段の生活の中では、あまり意識を向ける機会がないことが実情です。政治といっても、国政や地方自治体がかくあるべきという議論を起こしたいわけではありません。政治は本来身近なものであって、そこに興味関心をもつことでそれを意識し、まちのために何ができるかを考え、行動することが必要なのです。市民参画や協働のまちづくりが求められている昨今、より多くの市民の郷土愛を高めることで、まちづくりに対する参画を促していかなければなりません。

 若者はいつの時代の変革期にも行動し、それを先導してきました。それは射水JCの先達も同様です。青年会議所には意識変革団体という大きな役割があります。まちの未来を担う若者の政治に対する興味関心を促すことで、このまちを想う継続的な郷土愛を醸成します。

 

無限の可能性を秘めた青少年育成

 核家族化、少子高齢化が加速し、時代の変遷によりSNSやゲーム機器の普及でそれらに費やす時間が増加する傾向にあり、子どもたちを取り巻く環境は生活環境や社会情勢により大きく変化しています。現在の社会情勢を背景に親は子どもを他者から守ろうと、子どもに干渉しすぎる傾向にあります。それによって子どもたちは自身の成長に欠かせない他者とのコミュニケーションの機会を多く逃してしまいます。このような現代社会がもたらす必要以上な干渉によって、地域コミュニケーションの希薄化が進むことにより、心の触れ合いが少なくなり、その影響から子どもたちは他者との関わりを避ける傾向にあります。日本人は古来より、「調和」を基とする「他を思いやる心」や「感謝する心」を醸成してきました。子どもたちは人と関わることで自身の世界を広げ、「調和」が育まれます。いかなる問題や課題に直面したときにも「調和」の心をもって人と接し、お互いを尊重し合い前進していくことで、周りの人と協力しながら未来を切り拓いていける大人に成長していくのだと確信しています。

 また、私たち人間はこの世に生を受けてからある程度までは親が面倒をみてくれます。人は誰かに頼っている部分が多くありますが、いつまでも誰かにしてもらうばかりでは自立できません。世間は試練の連続です。必ず色々な困難にぶつかるでしょう。幼いときは親が盾となり守ってくれるのでしょうが、親はいつまでも子どもたちのそばにはいられません。獅子は自分の子を谷に落として、這い上がって来るように試練を与えると言います。やがて親がいなくても生きていけるように、食べ物を与えるだけではなく、取り方を教えるようになります。それが自立させるための愛なのです。学ばせること、体験させること、苦労させることも人生には必要です。「若い時の苦労は買ってでもしろ」と昔から言われているとおり、苦しかったからこそ、それを克服したときに感動があり、経験という素晴らしい財産が手に入ります。障害を乗り越える強さの源は他人に頼らず、自分自身の力で生きていけると言う「自立心」なのです。自分のしたこと、決めたことに責任をもち、どんな壁でも乗り越えていく強い意志力と実行力です。それがいずれは子どもたちが想い描く夢の実現を強く後押ししてくれます。

 「調和」だけが強すぎると何事も人に頼りがちになり、自分だけでは何もできなくなり、「自立」だけが強すぎると人と協力して物事に取り組めなくなり、多くの可能性を逃してしまいます。「調和」と「自立」とは一見すると相反するものに思えますが、私は子どもたちの将来が、より多くの可能性を秘めたものになるためには、この両者は相関関係になければいけないと考えます。地域の将来を担う子どもたちを育んでいく気概と責任をもち、未来への更なる可能性を広げることこそが私たち大人の使命であることを胸に刻み、青少年育成に取り組みます。

 

まちの未来を担う青年人開発

 青年会議所の使命(JCI Mission)は「青年が積極的な変革を創造し開拓するために、能動的に活動できる機会を提供する」ことです。この青年会議所の事業を通じて、まちの発展や次代を担う子どもたち、そして自分自身にポジティブチェンジを与えることができる人に成長することが、JAYCEEとしての義務なのです。京セラ株式会社の創業者である稲盛和夫氏は自身のフィロソフィー(哲学)でこのような考えを示しておられます。

人生・仕事の結果 = 能力 × 熱量 × 考え方

 その人の人生や仕事の結果はこれらの掛け算であるというのです。すなわちどれだけ能力が高くても、どれだけ強い熱意があっても、マイナスの考え方をしていては結果として大きなマイナスになってしまいます。人の悪口や不平不満を言い並べても周りに良い影響を与えることはありません。何事もポジティブに考え実践していくことこそが自身に大きな成長をもたらし、ひいてはその考え方が伝播し周りの人々に良い影響を与えます。私たちのポジティブな考え方で、このまちの希望溢れる明るい豊かな社会を実現していきます。

 また、我々は今しかない青年期という人生を形成するうえで貴重な時間を、この青年会議所で過ごしています。青年会議所では「青年らしく」とよく耳にしますが、どの様な青年が青年らしいのでしょうか。私には7歳と5歳の二人の子供がいます。今しかない幼少期を子供らしく過ごして欲しいと思い子育てをしています。私たちもこの青年期を「青年らしく」過ごすことによって、この時期にしかできない唯一無二の経験や学びが得られるとでしょう。この貴重な青年期を恥じることのない立派な青年となり胸を張って過ごしていきます。

 そして、私たちは自ら選択し自ら決断した上でこの青年会議所に携わっていますが、身の周りには自分の意志とは関係なく青年会議所に関わっている人たちがいます。それは家族や社員のみなさんです。それぞれ程度の差はあれ、青年会議所活動を優先して家庭を顧みない時期があったり、社員のみなさんに仕事を任せて会社を出てきた経験があるのではないでしょうか。私たちは周りの助けと理解があるからこそ青年会議所活動を行えているので、私たちはその周りの人たちのためにも必ず自身を成長させて、周りに良い影響を与える人財になる義務があるのです。自身の成長が家庭、仕事、更にはまちの財産になることを会員一人ひとりが理解し、青年として輝ける人財育成に取り組みます。

 

志高き同志の発掘と育成

 青年会議所活動の絶対的な基礎となるのは会員数です。近年は、長きに渡る不況の影響や後継者不足の要因から全国的な会員減少が問題となっています。それは射水JCも例外ではありません。青年らしい斬新なアイディアで、地域にインパクトを与える事業を行うにはより多くの志高き同志が必要です。そのためには、我々の信念に賛同し、勇気をもって行動できる仲間を増やさなくてはなりません。この使命を果たすためには、全会員がこの団体の魅力を発信し、積極的に会員拡大に取り組むことが必要です。団体の魅力を発信することの重要性は、新入会員の入会理由として、会員からの紹介によるものが一番多いことからもわかります。全会員が射水JCというチームをより強いものとするために、新たな手法を常に模索し、地道なれども諦めず、確実に相手の心に訴えかける足を使った会員拡大を行います。

 また、入会1年目の会員には、青年会議所の基本的な知識の習得はもちろん、事業を計画するうえで重要な議案書を活用した根本的な知識を習得する機会を設けます。自らの考え方や想いを同期の仲間に理解してもらうまで議論を交わすことで、同期の絆がより一層深まります。

 本年度は県内で全国規模の大きな事業を控えているため、例年以上に全会員がより一丸とならなければいけない多忙な年となります。新入会員ならではの斬新な発想力と恐れることのない行動力で、会員間だけでなく家族も含めた射水JCファミリーとしての結束力を高めていきます。

 我々は新入会員が青年会議所への入会を機に、多くの出会いや学びの中で自己の成長を遂げ、2年目以降にLOMを支える、即戦力となる人財を育成していきます。

 

郷土への責任と備え

 私たちが住み暮らすこの日本は、災害大国といっても過言ではありません。特に近年、異常気象による記録的豪雨、それに伴う土砂崩れや河川の氾濫が毎年のように猛威を振るっているのは周知の事実です。しかし、人は目の前に危険が迫ってくるまで、その危険を認めようとせず、多くの方が災害への備えを怠る傾向にあります。それはこの射水市でも同じではないでしょうか。災害は予測することはできませんが、災害の発生前、発生時、発生後のそれぞれの段階で適切で迅速な行動をとることによって、被害を小さくすることができます。そこで地域において災害が発生した場合、行政と相互に連携や協力をし、いち早く効果的な災害支援が行える仕組み作りが急務といえます。

 私は2011年に発生した東日本大震災の約1年後に被災地を訪れる機会がありました。地震の規模を物語るように被災地周辺の道路は波を打っており、瓦礫や廃車が山の様に積み上げられていました。津波で家屋が流され基礎部分だけが残ったまち、津波の浸水で放置された家屋が建ち並ぶ現状は、今まで見たことのない光景でした。しかし、この様な状況の中でもまちは復興に向けて確実に動き始めていたのです。

 人は倒れた時必ず立ち上がろうと努力をします。この射水市を拠点にしている青年経済人である我々の責任として、防災への備えを怠らず先頭に立ち行動していきます。

 

公益法人としての信頼と組織力の強化

 私たちは幼いころより無意識のうちに組織に属して育ってきました。わかりやすいところでたとえると学生時代が挙げられます。生徒それぞれが役割をもつことでクラスの運営が成り立っていました。会社や地元の町内会、一番身近なところでいえば家族も組織なのです。ではなぜそのように組織として動くことを幼いころから行い続けてきたのでしょうか。それは大人になり社会に出てからが、組織として動くことを必要とされるからに違いありません。今の射水JCは会員減少などの問題から委員会数の維持が困難になってきている現状があります。そのため、会員一人ひとりへの負担が大きくなってきているのは否めない事実です。人は何か役割を与えられるとその役割を果たそうと少なからずとも努力をし、成長します。今の会員に必要なことはそれぞれが明確な役割をもつことなのです。今後より良い事業を継続していくためには、会員一人ひとりが役割をもち能力を高めることで、組織としての実行力を高めなければなりません。

 また、近年射水JCが継続して行ってきたHPやSNSなどを活用した幅広い広報活動は実を結びつつあります。しかし、その誇り高き事業の発信が数多くある情報の中に埋もれ、市民からの認知がまだまだ十分ではない現状もあります。射水JCが行っている事業は、多くの時間を費やし射水の明るい社会を創造した他に恥じることのないものです。事業の経緯や目的を市民にわかりやすく、組織全体で広告することでより効果的な広報活動が展開されます。更には会員一人ひとりが事業の内容を十分に理解し、広告塔となることで事業に対し積極的に関わることにもつながります。

 本年度も姉妹・友好青年会議所との交流は、更なる友情を深めたいと考えています。そして会員にとっても、交流を通じて幅広い視野やグローバルな感覚を身に付け、更なる成長につながるものと考えています。お互いの友情は現役の時だけではなく、一生ものの宝だと私は考えます。個と個の相互理解が互いの会の関係を今後も更に深め、将来において明るい未来を創造します。射水JCの魅力の一つとして、お互いのまちの発展に寄与する更なる交流を今後更に育んでいきます。

 公益社団法人移行6年目として、いま一度公益性を踏まえ、会員からの信頼と負託に応えるべくガバナンスを強化していきます。事務局では活動への参画の士気を高め、統率された強固な基盤を形成し、財政局では財務体質の健全性を確保し、信頼ある組織の運営ができるようにしていきます。事務局、財政局には、私たちの活動を下支えする非常に重要な役割があります。地域に最も信頼される団体になるために事務局、財政局が一丸となり組織運営を行っていきます。

 

おわりに

 2014年、私が委員長の職を任され、委員会の方針を思い悩んでいた時、ある会員から「青年会議所は失敗しても良いところだ」という言葉を投げかけてもらったことを、今でも鮮明に覚えています。事業の成功の裏には幾千もの失敗があり、失敗があるからこそ成功を掴むことができるのです。本質的な失敗とは行動を起こさないことだとなのです。私たちは青年経済人であり、自身の可能性を信じ失敗を恐れず挑戦し続けることが本質であり修練なのです。「青年会議所しかない時代」から「青年会議所もある時代」と言われるようになった今だからこそ「青年会議所にしかできないこと」に恐れることなく挑戦していかなければなりません。失敗したらそれを糧にし、新たに自分自身を生まれ変わらせましょう。失敗したことを貶し嘲笑することなく、共に反省点を見出し、そこから得た気付きを伝え、共に学び、成功への歩みを進めていきましょう。本来あるべき青年会議所の姿に加え、今の時代に求められる青年会議所のあり方を模索し、他に誇れる運動を展開していきます。

 「百折不撓」の精神を胸に、誰もがもつ自身に秘められた無限の可能性を信じ、愛するこのまちの明るい豊かな社会の創造に向けて、いまだ経験したことのない魂を燃やすような熱い想いで勇猛果敢に挑戦していきます。

 

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