2018年度理事長所信

公益社団法人射水青年会議所 越後 雅俊

今を超える勇気 ~まちの未来はこの手にある~

はじめに

 『新日本の再建は我々青年の仕事である』。1949年9月3日、そう高らかに宣言し、私たちの運動の原点である東京青年商工会議所が設立されました。それは戦後間もない時期であり、まちは荒廃し、人々は食うや食わずの状況で絶望に陥る中、先達は混沌の中に希望を見出し、明るい豊かな社会を創造するため立ち上がりました。そして、その運動・活動は全国へと広がり、それぞれの地域において、大きな変化と発展をもたらしてきました。

 この射水青年会議所も市町村合併をするか否かという混沌とした歴史的変革期の中で、先輩諸兄がこの愛する郷土の限りない発展と明るい豊かな社会を築くために、様々な苦難を乗り越え、歴史と伝統のある2つの青年会議所を統合し、新たに創立したものであります。そして新生射水青年会議所会員が一丸となって、射水市の誕生に向けて市民を牽引しました。もし先輩諸兄が変化を恐れ、目の前の苦難から逃げていたならば、今この世に私たちの愛する射水市は存在していなかったかもしれません。

 このように常に時代を先駆け、「今を超える勇気」を持って挑戦を続けてきた先達の魂を引き継ぐ私たちは、この組織の歴史に対する誇りと挑戦者たる気概を持ち、自らに限界を作ることなく、自己の成長が、己の未来とまちの未来を創ると信じ、今後も積極果敢に青年会議所運動・活動を展開していかなければなりません。

強く美しく逞しいJAYCEEの育成

 私たちはたった一度きりの人生の中の、最も大切な青年期をこの射水青年会議所で過ごすことを選択し、日々、多くの時間を使って、自らの成長のため、まちの発展のため、次代を担う子どもたちのために活動をしています。しかし、近年、公開例会や対外事業の参加者数が低迷していることからすると、我々の活動に対する市民の理解と信頼が十分であるとは言えません。まちを変えるためには、そこに住まう市民の協力が必要不可欠です。したがって、私たちが真剣にこのまちをより良いものにしていこうと思うのであれば、これまで以上に市民から理解され、信頼を得られる団体にならなくてはなりません。

 そのためにまず、私たち一人ひとりが私生活を含む全ての言動や立ち居振る舞いを見直し、このまちのリーダーとして相応しい行いをしていかなければなりません。私たちがこれまで行ってきた事業は唯一つの例外もなく、いずれも誇るべきものであると自負しています。したがって、一人ひとりが襟を正し、世の中に恥じることのない言動と美しい立ち居振る舞いを行えば、射水青年会議所は、必ずや市民に支えられた真に社会から求められる団体となり、より効果的な事業を展開していけるものと確信しています。また、それぞれが襟を正すことは、会員それぞれの個人としての評価の向上にも必ず繋がることでしょう。

 次に、射水青年会議所の組織としての評価を高めていくには、この組織に所属したことによる個々の成長が重要です。しかしながら、言うまでもなく、青年会議所は入会しただけで成長が約束されるような組織ではありません。高い志と目的意識を持って活動に取り組み、目の前を通り過ぎる多くの成長の機会を自ら積極的に掴み取りに行くことが必要です。そして、その中で多くの壁にぶつかり、額に汗し、時には涙し、自らの無力さと自分がいかに周囲に支えられているのかを知ったその先に成長があるのです。私たちが青年会議所を通じて成長をすることが、活動を支えてくれる家族や会社に対する恩返しでもあり、青年会議所で学んだ知識や経験を自社や地域の活動で活かすことで、射水青年会議所に対する評価も高まっていくものと思います。

 さらに、私たちはこのまちの一市民であると同時に、このまちで経済活動を行う青年経済人であります。私たちが今後も力強く、かつ継続的に活動を展開していくためには、個々の経済的基盤の充実が重要であると考えます。これまで青年会議所では社会貢献活動に重きを置き、お互いのビジネスの話はある種タブーのように扱われてきました。しかし、経済的な基盤が充実することで、さらに社会貢献を行う意欲や能力が培われていくのではないでしょうか。したがって、本年は会員個人のビジネススキルを磨く機会を設け、自社成長の意欲と能力を高める活動を行いたいと思います。会員間でもこれまで以上に経営に関する情報の交換や悩みの共有をし、他業種が揃う青年会議所であるからこそできる多様な視点からのアドバイスなどをしながら、自社を発展させ、経済的基盤を充実させていきます。

 「優しくあるために強くなる」。真に他者や社会のために行動するには、自らの成長が必須であり、「自社の発展」という縦軸と、「社会への貢献」という横軸の双方を意識して、そのバランスと総和を高めていかなければなりません。

 私たちは、強く美しく逞しいJAYCEEとなることを目指して、まずは意識改革による会員の育成に取り組みます。

愛するまちの未来のために

 私たちが住み暮らすこの射水市は、富山県の中央部に位置するため、富山市・高岡市との往来がしやすいなどの地理的な利便性に加え、海の幸や山の幸といった食材にも恵まれています。また太閤山ランドや海王丸パークといった自然を活かした大型の公園や、近年ドラマや映画の舞台としても注目された歴史と風情のある内川や勇壮な曳山祭りなどといった名所や文化があります。さらには子育て世代に対する補助や福祉サービスも充実しており、とても住みやすいまちであると思います。

 しかし、そんな射水市においても過去5年間、人口が数百人ずつ減少しています。出生率の低下による人口の自然減や東京一極集中による社会減は、日本全体の傾向ではありますが、このまちの未来を担う私たち若者がこれを傍観しているわけにはいきませんし、所与の前提として受け入れる訳にもいきません。人口減少は、消費低下や労働力不足による経済の低迷、空き家の増加による治安の悪化、担い手不足による伝統や文化の衰退のみならず、税収の減少による福祉サービスの低下を招き、さらなる人口減少を引き起こします。私たちの愛するこの射水市が深刻な負の循環に陥る前に、人口減少に歯止めをかけなければなりません。

 射水市の人口減少の理由の一つとして、全国的な晩婚化・少子化のほか、若い世代の首都圏を始めとする県外への転出超過が挙げられます。私は、進学による転出や自己のスキルアップのために市外に出ることは、様々な人と交流する機会を得て、視野を広げるという意味で大変良いことと思います。しかし、卒業後のUターン就職が少ないなど、若い世代が転出したまま戻って来ないことは大きな問題であると思います。移住促進政策も重要ではありますが、まずはこのまちで生まれ育った子どもたちに、将来このまちで過ごしたい、自分たちを育ててくれたこのまちを自分たちで守っていきたいと思ってもらえることが大事なのではないでしょうか。穴の開いたボウルにいくら水を入れても水が溜まらないように、人口の流出を止めることが人口減少対策の基本となると考えます。

 社会が変化し、価値観が多様化する中で、卒業後のUターン就職が少ない原因は多岐に渡ると思いますが、一つの原因としては、若い世代は視野や行動範囲が狭いことから、この射水市の良さをよく知らないということが挙げられると考えます。そこで、若い世代を中心とした広報活動を行い、このまちの魅力を伝えていきたいと思います。

 その他にもUターン就職が少ない原因を追究し、私たち、若い世代だからこそできることを1つ1つ全力で行っていきたいと考えます。もちろん、物理的にも経済的にも私たちが単独でできることは限られています。したがって、私たちが主体となりながらも、行政や民間企業、他の団体などとよく連携し、その協力を得ながら、効果的な事業を展開して参りたいと思います。

 私たちは、このまちで生まれ育った若い世代に、このまちを好きになってもらい、将来このまちで暮らしたいと自然に思ってもらうこと、そして若者で活気溢れるまちにすることこそが、真のまちづくりであると考えます。

子どもたちの夢と挑戦心を育む

 純粋無垢な心で、「あれになりたい」「これになりたい」と語る子どもはキラキラと輝いて見えますが、いつしか将来の夢や、なりたい職業を聞いても、自分の殻に閉じこもって、「何でも良い」「分からない」と答える子どもが増えてきたように思います。実際、近年の内閣府による調査でも同様の結果が出ています。まだまだ社会を知らない子どもたちに、早い段階で無理に将来の職業を決めさせる必要はありませんが、目指す目標があることは努力の原動力になりますし、途中で目標が変わったとしてもそこまでにした努力や経験はその後の人生にとって貴重な財産となります。

 ではなぜ子どもたちが夢を持たなかったり、夢を語らなくなってきたのでしょうか。「子どもは大人の言うとおりに育つのではなく、大人がしているとおりに育つ」と言います。したがって、私はその原因の1つは、親世代である私たちをはじめとする大人にあると思います。つまり、大人がどんなに子どもに対して夢を持って努力をしろと言っても、大人自体が夢を持っていなかったり、努力をしていないのでは、子どもが夢を持って努力することはないのです。また、子どもが夢を語った際に周囲の大人が正面からしっかりと向き合ってあげなければ、子どもは夢を諦めたり、夢を語るのをやめてしまうことでしょう。原因のもう1つは、近年、地域行事が減少して、子どもと周囲の大人と触れ合う機会が少なくなったことで、近くに憧れるような大人がいなかったり、職業に対する現実感を持てなかったりすることもあるのではないでしょうか。

子どもたちの夢を育むのは、私たち周囲の大人の責任です。子どもたちに夢を持ってもらうために、まずは周囲の大人自身が、5年先、10年先の自らの未来を思い描き、子どもたちと将来について真剣に語り合って、子どもたちが憧れるような大人の姿を見せることが必要であると考えます。

 もちろん夢の実現には多くの困難が伴います。困難にぶつかる度に、簡単に諦めてしまうようでは夢を叶えることなど到底できません。したがって、子どもたちの夢を育むと同時に、困難に負けない逞しさを養う必要があります。私は、逞しさはどんな環境や状況の中でも、失敗を恐れずに挑戦をし、成功と失敗を繰り返す中でしか育まれないと考えます。誰しも失敗は怖いし、恥ずかしい思いはしたくない。多感な時期の子どもたちであれば尚更であると思います。だからこそ、周囲の大人の適切なサポートとアフターフォローが非常に重要です。私たちは様々な活動を通して、無限の可能性を有する子どもたちの夢と逞しい心の育成に尽力します。

大きな夢を持ち、困難に直面した際には、いかに困難を避けるかではなく、どうやって困難を乗り切ろうか楽しむ、そんな挑戦心溢れるキラキラした子どもたちが増えれば、このまちもきっと明るい豊かなものになっていくと思います。

会員相互の絆を深め、同志の輪を広げる

 統合当時100名以上いた会員も今や半減しており、会員の減少は事業の質及び量の低下に繋がります。それは射水青年会議所の評価の低迷へと繋がり、ひいては更なる会員減少の原因となって、最終的には、組織の存亡の危機にすら陥りかねません。会員減少の一因として、景気の悪化による事業所数や人口の減少もありますが、まだまだこの地域には隠れた人財が豊富にいると思います。したがって、会員全員が一丸となって、積極的に会員拡大活動をすれば、必ずや会員数は増大すると思います。

 私は会員の拡大意識の向上のために、まずは会員相互の絆を深めて、会員個々における射水青年会議所の存在価値を高め、この射水青年会議所が家庭・会社に次ぐ第3の心の拠り所、いわゆるサードプレイスにしたいと思います。会員がこの組織を大切に思い、まちの未来にとって、また自己の成長にとって必要不可欠な組織であると考えるようになったならば、会員拡大を他人事と捉えず、自らの友人や知人に声をかけるなど、会員拡大に向けて自ら積極的に動くものと思います。

 私たちは同じ時代に生まれ、同じ地域で育ち、偶然とも必然とも言える不思議な縁で繋がり、この射水青年会議所でともに活動しています。この縁を真の絆に変えるためには、多くの時間と同じ悩みを共有すること、そして時には自分の思いをさらけ出し、波風を恐れずにぶつかり合うことも必要だと思います。そして、お互いの長所・短所を知り、それぞれの長所・短所がパズルのピースのようにがっちり組み合わさったときに真の絆が生まれることでしょう。

また、私たちは家族や会社の支えのもとで青年会議所活動をすることができているのですから、家族や会社の青年会議所活動への理解と共感も重要です。本年は家族参加型の事業を多く行い、まずは青年会議所活動に対する家族の理解と共感を得ていきたいと考えます。それと同時に会員の家族間の交流も、会員相互の絆を深める一助となるものと考えます。

 会員の絆が深まることで、それぞれにおける射水青年会議所の存在価値が高まり、自ずと拡大意欲も高まります。そして、全員一丸となった会員拡大ができれば、今までにない規模の会員拡大が可能となり、新旧の会員がもたらす化学反応によって、会員個人も組織も飛躍的に進化することができると考えます。

個々(ここ)から始まる世界平和

 国際青年会議所は、恒久的世界平和の実現を目的とする団体であり、射水青年会議所もその一員として、それに寄与するため、台湾中正國際青年商會、韓国西仁川青年会議所、シンガポールオーキッド青年会議所という3つのJCと姉妹提携をしています。しかし、島国育ちの日本人には、外国人との交流に対して苦手意識があり、射水青年会議所の会員も同様ではないでしょうか。

かくいう私もその一人でしたが、射水青年会議所の国際交流を通して、人間関係には国境はないということを感じさせて頂きました。今では、言葉が通じなくても心で通じ合える、そんな関係を築くことができています。しかしながら、彼らの国の言語や文化、習慣を学ぶことでさらに深い国際交流ができると考えます。よって、事前にこれらを学習したうえで、多くの会員とともに各国を往来して、相互理解を深めながら、より強い友情を育んでいきたいと思います。

世界平和と言うと縁遠いものに思いますが、まずは会員個々が、この射水青年会議所の国際交流事業を通じて、相手とその国を理解し、その経験を周囲に語り、その輪を広げていくことが、ひいては世界平和へと繋がるものと思います。

また、会員にはこの歴史と伝統ある国際交流を通じて、青年経済人として必要な国際感覚と、何事にも恐れず挑戦する心を養って頂きたいと思います。

規律ある組織運営

 射水青年会議所は、総会や理事会を開催して重要な意思決定を行い、例会を通して自己の研鑽やまちづくり活動に取り組んでいますが、近年その参加率が必ずしも高いとは言えない状況にあります。しかしながら、総会や理事会は組織の方向性を定める重要なものであり、例会は個々の成長にとって不可欠なものであります。したがって、運営幹事会を中心に、会員に改めてその重要性を伝えて理解してもらい、参加率を上げる必要があります。そのためには、会員と綿密にコミュニケーションをとることも重要であると思いますし、参加率を上げるための新たな取り組みを模索し、会員それぞれのベクトルを合わせて一体感を高めていかなければなりません。

 また、射水青年会議所は、会員の年会費を中心に予算編成をしておりますが、会員数の減少などにより、これだけでは効果的な事業を行うための財源として十分とは言えません。そこで、財政審査会において、行政からの補助金や民間企業や市民からの協賛金その他の外部資金導入方法の検討や、限られた予算を効率的に使うための費用対効果の精査を行います。さらには、公益社団法人として求められる各種法令や定款、会計基準の遵守などコンプライアンス審査も適切に行い、組織の維持・発展に努めます。そして、これらを行う中で、会員の法律や会計に対する知識も向上し、個々の資質の向上に繋がるものと思います。

 規律のない組織に力はありませんし、変化のない組織に未来はありません。各自が組織の目的とルールを共有し、会員全員が同じ方向にベクトルを合わせ、未来に向かって歩みを進めたときにこそ、大きな力が生み出されるのです。私たちは、規律ある組織運営を通して、会員の成長と一体感を高め、より力強い事業の展開に努めます。

終わりに

 人工知能の目まぐるしい進化によって、今後10年から20年の間に約半数の仕事が無くなると言われています。そして、約30年続いた平成の時代も終わりを迎え、新たな時代の足音が近づく中で、現状に満足して努力を惜しみ、変化を恐れて何もしないことは衰退への第一歩であり、むしろリスクでしかありません。

私たち自身とこの愛するまちが生き残るためには、過去と今の延長線上に未来を見据えるのではなく、あるべき未来から今をかえりみて、変化を恐れず、挑戦を続けていかなければなりません。時代を切り拓くのは私たち青年の使命であり、射水青年会議所の歴史は、挑戦と変化の歴史であります。

 『未来のことは誰にもわからないが、未来が誰に委ねられているかはわかる』(EAK)

私たちは、今こそ変革の能動者たらんとする青年として、過去の常識にとらわれたり、自らに限界を作ることなく、明るい豊かな社会の実現に向かって、積極果敢に挑戦しなければなりません。私たち一人ひとりの「今を超える勇気」が、このまちの未来を創ると信じて。

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